蛍の光 窓の雪なお話

プロジェクトXのナレーション調で読んでみて下さい。)
 お花見に行ってきた。某板のオフ会だ。各自アルコールや摘みを持ち寄るとのことだった。会場の公園入り口に定刻には到着した。だが、手ぶらで集合場所に行くのは気が引けた。公園入り口にある売店酒類は、350mlの缶ビールが300円とヤケに高かった。おおよその場所取り場所はスレに貼り付けられた地図で目星を付けている。駅前のコンビニまで戻り、ビール6本と鮭とばを買って公園に戻った。腕時計は定刻を30分過ぎていた。・・・。
.
 結局、その「おおよその場所」を1時間半探し歩いたのだが、見出すことは出来なかった。それにしても、すごい人出だった。ライトアップされた薄桃色の桜の花々よりも酔っ払いの顔々々をかつてなく不躾に眺め続けた。(ちなみに、結構綺麗なお姉さんも何人かいた。かなり変なヒトもいたような気がする。)今思うと、そもそも何を目印に? 昨年末、その板のオフ会に話のネタを仕入れようと飛び入り参加したので、幹事氏やその他の参加者の顔を覚えているハズと思っていた。が、大体俺はヒトの顔を覚るのが苦手だった。
.
 ♪蛍の光 窓の雪 文読む月日重ねつつ・・・やがてメロディーも鳴り止んだ。公園出口に向かいながら、甘ったるそうな歌詞をアコギで歌ってる路上バンドに人だかりができていた。立ち止まるでもなくただ通りすぎるでもなく聴きながら、何故か、その昔、好きだったに違いない別嬪さんの顔を朧にではあったが思い浮かべた。振り返ると、かつて、俺は、誰もが恋するタイプの女性に恋し、誰に対しても人当たりの良い奴と友達だった。
.
「追記」
 オフ会は盛会だったそうだ。仮に合流できたとしても高尚な話題についていけず浮きまくってただろうから、これでいいのだ。